高村 智恵子 紙絵展

詩集『智恵子抄』の主人公 智恵子が制作した紙絵は、まさに光太郎への愛の結晶であり、
その美しさと繊細さは今なお見る人の心をとらえて離しません。



     ―― 或時、智恵子は訪問の私に一つの紙づつみを渡して 見ろという風情であった。紙包をあけると中に色がみを鋏で切った模様風の美しい紙細工が大切そうに仕舞ってあった。其を見て私は驚いた、其がまったく折鶴から飛躍的に進んだ立派な芸術品であったからである。 (略) はじめは一枚の紙で一枚を作る単色のものであったが、後にはだんだん色調の配合、色量の均衡、布置の比例等に微妙な神経がはたらいて来て紙は一個のカムバスとなった。十二単衣に於ける色襲ねの美を見るように、一枚の切抜きを又一枚の別のいろ紙の上に貼りつけ、その色の調和や対照に妙味尽きないものが出来るようになった。 (略) 此の切りぬかず置いて、其を別の紙の上に貼ったのは、下の紙の色がちらちらと上の紙の線の間に見えて不可言の美を作る。此等の紙絵はすべて智恵子の詩であり、抒情であり、機智であり、生活記録であり、此世への愛の表明である。此を私に見せる時の智恵子の恥ずかしそうなうれしそうな顔が忘れられない。
(高村光太郎『智恵子の紙絵』より)


 
ざくろ


 

ガラス器の中の野菜


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